ジキルとハイドな彼

警察が呼んだ救急車に乗って病院へ向かう。

本当はコウに同行してほしかったが、用を済ませてから直ぐに病院へ向かうとお断りされてしまった。

その時、捨てられた仔犬のような眼をしていたらしく、律儀に護衛の警察官を一名同行させてくれた。

移送先の私立病院に到着すると、診察室に通される。

当直の先生はなかなかの男前で、ルームウェアのまま出てきてしまった事を後悔した。

「あー、結構深いなあ、傷口止めておくね」

先生は爽やかに言い、ホチキスのような器具で容赦なくバチンバチンと頭を二箇所とめる。

男前の先生は無駄に親切で、頭にミカンのネットみたいなやつを被せようとしたが、そちらは丁重にお断りした。

その後、念のためにレントゲンを撮り検査をする。

脳の方には異常は見当たらなかった。

男前先生曰く、少しクラクラするのは軽い脳震盪ですぐ治るそうだ。

検査も終わり、頭にデッカいガーゼを着けて、足取り重くロビーに戻ると、長椅子に腰掛け、コウが待っていてくれた。

ちゃっかりグレーのカーディガンと細身の黒のパンツに着替えている。

寝ぐせもちゃんと直したようだ。

「大丈夫だった?」

私の顔を心配そうに覗き込む。

「うん、傷口はホチキスで止めたけど、レントゲンでは異常がなかったみたい」

「そうか」コウは幾分かホッとした様子を見せる。

「それじゃあ、行こうか。早く休まないとね」

私がギクリと立ち止まる。あの部屋には恐ろしくて戻る気がしない。