ジキルとハイドな彼

「まだ富永くんの事、引きずっているの?!」

私は思わずズッコケそうになった。

が、ここは一つ乗って見るのもいいかもしれない。

「まぁ…少しは」

「タイに行くって聞いたけど」

「たい?」私は眉を顰めて聞き返す。

「まさかタイまで追っかけようって気?!」

私はあははーと空笑いをしてナイナイ、と言って手をハタハタと横に振る。

「ただ、別れた男がどうしてるかなってちょっと気になっただけよ」

それならいいんだけど、と言ってオーナーはホッとした表情を浮かべた。

「あのカワイイ子と仲良くしなさいよ。薫ちゃんに夢中って感じだったわぁ」

「そうかしら」私は肩をすくめる。コウの迫真?の演技も無駄ではなかったようだ。

「富永なんかよりずうっといい!ヤツはこの店でもしょっちゅう女の子に声掛けてたんだからあ!」

そしてその子達を例のラブコネクションとやらのメンバーに加えたかもしれない。

今更ながら最悪な男…。

「それにあのカワイイ子、上品に見えるけど結構エロそうだよね」

「やっぱりエロいですよね」

「まだ試してない?」

「はい、残念ながら」

「それであの態度?相当エロいわねぇ!」

コウがソコのところはどうなのか、よく知らないので私は二コリと笑顔を浮かべノーコメントでかわす。

「今日はこの後しけこむ気?」さらにオーナーはグイグイ質問してくる。

「ああ、はい、まあ」ノリノリのマスターに合わせて気の抜けた相槌を打つ。

「やっだぁ!いいわね~薫ちゃん!」

オーナーが何故か大興奮だ。