ジキルとハイドな彼

「富永くん、そっち関係の人とよくこの店に来てたのよ」

「え?どんな人?私もあったことあるかなぁ」

マスターは顎に人差し指をを当てて考え込んだ。

「多分ないわね。いかにも行儀の悪そうな柄の悪い若い子を連れて来る時もあれば、神経質そうな男性と一緒だった時もあったわ」

またしても知らなかった聡の一面を聞かされて動機が早まる。

私は気を落ち着かせるためワインをグっと煽った。

「どうしてそっちの筋の人だって解ったの?」

「結構この辺りじゃ有名な人だから」

「どうしてそんな人達と聡が…」私はギュっと眉根を寄せる。

「富永ちゃんの会社、一時期ヤバくなったみたいでね。その時そっち関連の人達にお金借りちゃったって噂よ」

「そう」私はワイングラスを握りしめ表情を曇らせる。

「まあ、あくまで噂だけどね」

「聡が最後にこの店に来たのはいつ位かしら?」

「そうねえ、二週間前くらいかな。海外に行くとか、行かないとか聞いたわよお」

「海外?!どこ?!」

マスターは私の勢いにややたじろぐ。

「ま、まさか薫ちゃん…」マスターは表情を引き攣らせた。

私の鼓動が大きく跳ねた。

マズイ…しつこく色々聞き過ぎてなにか勘付かれたのだろうか。