ジキルとハイドな彼

「カウンターいいかしら?」

お好きな所にどうぞ、と言われたので端のほうに並んで座る。

私達は赤ワインのボトルを一本と生ハムにチーズの盛り合わせをオーダーした。

「薫?もっとちゃんとウットリしてる体裁を装ってくれる?」

コウはコウはトロけるような微笑みを浮かべながら小声で注文をつける。

「む・り・よ」

私も笑顔でキッパリとお断りする。

「あっそう」一瞬コウは不服そうに目を細める。

運ばれてきたワインをマスターがグラスに注いだ。

コウは見せつけるように私の太ももに手を添える。

いくらなんでもやり過ぎだ…という心の声をグッと飲み込んで、見つめあいながらグラスを合わせ乾杯する。

マスターが裏に何かを取りにいくと、コウは即私から離れた。

「真面目にやりなよね?!これじゃ俺が薫にセクハラして困らせてるみたいじゃん!」

「だ、だ、だだって!こうゆうスキンシップに慣れてないんだもん!あなたいっつも女性にこんなベタベタする訳?」

「今日は大袈裟な方だけど、酔っ払ったらこれ位普通でしょ」

「これが?ふつう?!私だったら引いちゃうわ」

コウは絶句して目を見張っている。

そこへタイミングよくマスターが戻ってきた。

私たちは再びにっこり微笑み合う。