その日の放課後。


学校を出て家までもう少しというところで、数学の教科書を忘れてしまったことに気付いた。



明日の朝までの課題があったから、今日中にどうしても終わらせなければいけない。



もー、本当にあたしってば、どこまでドジなんだか。


引き返すのは面倒だけど、数学の先生は課題や忘れ物にうるさい人だからな。


学校へ戻って教室の前まで来たとき、中から物音が聞こえて足を止めた。



ドアのガラス部分からそっと中をのぞくと、いつも一緒にいる碧(みどり)ちゃんと佳世(かよ)ちゃんが座って話しているのが見えた。