「夕ご飯は食べてきたのよねー?お風呂あったまってるから入ってらっしゃーい」
「お母さーん‼布団取り換えて出しといてって言ったじゃーん‼」
「ごめ~ん、忘れてたー!お願~い!」
「もうっ‼」


1階からお母さんの大声が2階に届く。
私の部屋に2人はせまいから、両親の部屋と交換することにしてた。私は自分の布団と枕じゃなきゃ眠れないから換えといてって頼んだのに!リンゴの分の布団も出てない。


「その間にリンゴちゃん、お風呂入っちゃったらど~お?」
「そーしま~す!アンちゃん、いい?」
「うん、いいよ。いってきて」


私の無愛想な返事をよそに、リンゴは勢いよく階段を降りていった。
まったく!お母さんとリンゴってほんと似てる。マイペースっていうか、お気楽というか。
たまにうらやましくなっちゃうけど。


30分くらいでリンゴとお風呂を交代し、お湯に浸かってやっと一息つけた。
楽しかったけど、やっぱりみんなといるのは疲れていたことに気づく。


「リンゴ、ちゃんと勉強してるかなぁ」


交代した時に“部屋で勉強して待ってて”って伝えたけど、お母さんって強敵がいるからなぁ。
不安。
すでに笑い声が聞こえる気がする。気のせいであってほしい。気のせいで……


「遅かったわねぇ、杏奈」
「みてみてアンちゃん!お母さま秘蔵の小学校の時のアルバムだって!私が遊びにきた時のがまとめてあるの!うわぁ!アンちゃんちっちゃ~い‼」
「……………はぁ」


気のせいじゃなかった。