「もう、誰も信じられない……あ、やっぱり杏奈ちゃんは例外……」
「今コウちゃんを騙したのはアンちゃん先輩でしょ!コウちゃんは、私だけを信じて生きればいいんだよ?」


肩を落とす千夜先輩にまとわりつきながら、花梨ちゃんは私をにらんでいる。
慣れないなぁ、花梨ちゃんの性格……


「そんなことより部活は?私、テスト勉強したいんだけど」


茶番に終止符を打ったのはリンゴだった。リンゴの口から勉強の2文字が出てくるなんてっ……相当イライラしてきてるみたい。
花梨ちゃんはコホンと咳払いをすると、1枚の紙を取り出した。


「これを見てくださいっ‼」
「「……ボランティア募集?」」


星のマークできれいに飾られたその紙には、大きくボランティア募集の文字があった。場所はプラネタリウム館。ボランティア参加者には特典もありと書かれている。


「花梨ちゃん、これって……」
「今度パパとママが主催の天文学会的なものを開くことになったんですよ、フランスで。それにおじいちゃんも参加するんです」
「へぇ‼すごいね‼」


そんなにすごい人だったんだ、花梨ちゃんのご両親。


「その時にプラネタリウム館の職員も数名連れていくみたいで……つまり、人手が足りなくなるんです」
「じゃあボランティアの内容って……」
「職員業務の補佐です!満喫できますよ?プラネタリウム館を!」