「私、初めて知った……」
優しいお父さんしか知らなかった。すごく仲のいい両親だった。お母さんはこのことを知っているの?幸せな家族の裏に、苦しんでいた家族がいたことを。
私はお父さんが死んで、悲しくて寂しくて苦しかった。でも真島くんは……?私なんかよりもっと……
「それだけ……?」
「え……」
真島くんの冷たい声が飛んできた。
「初めて知ったって、それだけなわけ?俺は、俺と母さんはずっと苦しんできたんだ。母さんはもっと……」
「……ごめんなさい。私、何も知らなくて」
これで全部に納得はいった。クレープ屋での言葉も、斗哉くんとのやりとりも。斗哉くんも知っていたんだ、このことを。
私だけが知らなくて、きれいな思い出のまま守られていて、私は真島くんになんて言えば……
「俺は憎んでた。父親も、お前の母親も、お前のことも。母さん言うんだ。俺の顔があの人にそっくりだって。だから見るのが辛いって泣かれる。話したこともない父親に俺は翻弄されて……」
暗闇に目が慣れ始め、真島くんの姿が見えてきた。
私の方なんて見向きもせず、上を向いている。その横顔が、星を一緒に見たあの日のお父さんに見えた。
思い出した。願い事を言ったあと、私の目に映ったお父さんの顔を。
今の真島くんと同じように、泣きそうな表情で空を見ていた。
優しいお父さんしか知らなかった。すごく仲のいい両親だった。お母さんはこのことを知っているの?幸せな家族の裏に、苦しんでいた家族がいたことを。
私はお父さんが死んで、悲しくて寂しくて苦しかった。でも真島くんは……?私なんかよりもっと……
「それだけ……?」
「え……」
真島くんの冷たい声が飛んできた。
「初めて知ったって、それだけなわけ?俺は、俺と母さんはずっと苦しんできたんだ。母さんはもっと……」
「……ごめんなさい。私、何も知らなくて」
これで全部に納得はいった。クレープ屋での言葉も、斗哉くんとのやりとりも。斗哉くんも知っていたんだ、このことを。
私だけが知らなくて、きれいな思い出のまま守られていて、私は真島くんになんて言えば……
「俺は憎んでた。父親も、お前の母親も、お前のことも。母さん言うんだ。俺の顔があの人にそっくりだって。だから見るのが辛いって泣かれる。話したこともない父親に俺は翻弄されて……」
暗闇に目が慣れ始め、真島くんの姿が見えてきた。
私の方なんて見向きもせず、上を向いている。その横顔が、星を一緒に見たあの日のお父さんに見えた。
思い出した。願い事を言ったあと、私の目に映ったお父さんの顔を。
今の真島くんと同じように、泣きそうな表情で空を見ていた。


