お菓子な男の子

「杏奈ちゃ~ん、林檎ちゃ~ん、事務連絡だよ~‼」
「千夜先輩……」
「煌先輩だ……」


あはは。ウザさMAXだ。
真島くんがすごい顔になった。さっきまでの笑顔がなくなって、教室のドアの先をにらんでいる。


「あ、いたいた。今日の部活のことで連絡しにきたよ」
「チヨ先輩、いちいち教室まで来なくてもよくない?携帯っていう文明的産物があるんだから」
「あれ?なんでここにマシマリョくんいるの?」
「杏奈ちゃんと同じクラスだから。いて当たり前」


私たちよりも先に、真島くんが反応した。


真島くんと千夜先輩って、ほんと仲悪いよなぁ。真島くんがつっかかっていって、千夜先輩が流しつつ嫌味を言う。
私にとっては慣れた光景。


「携帯使えばいいじゃん」
「だって、杏奈ちゃんに会いたかったから♡」
「帰れ!」


このままじゃ、2人の言い争いで大事な昼休みがつぶれちゃう!


「2人とも、ちょっと……」
「チヨ‼」


止めようとしたとき、廊下から、頼もしい声と再びの黄色い悲鳴が聞こえてきた。


「あっ、一臣に見つかっちゃった」
「チヨ、勝手にいなくなるな。ひとりじゃ食いきれん」
「ごめんごめん。部活の連絡しにね」
「さっさと済ませて戻るぞ」


そう言った久喜会長の手には色とりどりのお弁当箱。どう見ても男子向けのものではない。
もしかして……全部もらいもの!?