暫くして段々自分の今していることに気がつき始めた。


私ったらなんてことを!

慌てて顔を上げて相手の顔を見る。その顔はさっき私が逃げ出した相手だった。

「さ、佐藤くん。なんでここに……。」


私は確かに佐藤くんから逃げ切ったはず。それなのに何故いまここにこうして抱き合っ……。


きゃぁーーーーー


「ご、ごめんなさい。」


「なんでほのかが謝るの?」


「だ、だって佐藤くんと私ったら抱き、いやあの……。」

「何?

抱き合ってるかって?

でもこれは俺がしたいからしてるんだし、ほのかが謝ることないだろ。」


「た、確かにそうだけど、でも私佐藤くんを怒らせるような事したみたいだし。」

「怒らせる?

それで逃げたの?」


「うん。」


「そっかぁー。


良かった。」


ん?良かった?


「あっ、ごめん、良かったのは俺が嫌われたんだと思ってたから。そうじゃないんだって分かったからだから。」

嫌われた?私が佐藤くんを?

「そんなことありえない。」

思わず叫んでしまった。

「ありえない?

何で?」

しまった。私はしどろもどろしながら、


「それは、ほらっ、だって。

そ、そう!佐藤くんと私は友達だから。」

ふー。私の気持ちは決して佐藤くんには気付かれたくない。だってもし知られた迷惑なだけだもん。