話し終わると楓が、

「よく話したね。偉いよほのか。」

私の頭を何度も何度も撫でてくれた。その手が温かくて優しくて鼻の奥がツンとする。


「辛い思いしてたんだね。

そっかぁー。確かに僕でもそんな思いしてきたらきっと自信なんて持てなかったと思う。でもね、ほのかちゃんはこれから先自分はどうしたいの?このまま自信を持てないまま自分の殻にとじ込もって生きていく?キツイ言い方かもしれないけど、楓だっていつまでも君とは一緒にいられないだろ?結局自分を変えられるのは自分自身なんじゃないかな?」


この先自信のないまま一生いるなんて嫌だ。こんな風に思えるようにしてくれたのは楓。楓とはずっと親友でいたいけど今の私じゃ楓に頼りっぱなしで全然ダメダメだ。

「ちょっと、冬馬あんた言い過ぎだよ。

ほのか大丈夫?こんな奴の言ったことにしなくていいからね。

ごめんね私が会わせなければこんな事言われなくてすんだのに。」

楓の優しさが私の心の中に痛いほど入ってくる。

「ううん、大丈夫。ありがとう。

矢代くんの言ってること当たってるよね。

私は過去の事ばかり気にして楓を頼ってるくせに自分では全然変わろうとしてない。
それってただ単に楓に甘えてるだけなんだよね。
私ね楓とはずっと親友でいたいと思ってる。だからただ甘えてるだけの自分でいたくない。」

「ほのか……。」

ギュッ

楓が私を力一杯抱き締めてきた。

「うんうん、そうだよね。私達ずっとこの先親友だよね。

甘えてばかりじゃダメだよね。私もほのかと一緒だよ。自分の顔が嫌でそれを隠すために化粧してほのかを変えることで自分を誤魔化して、私もほのかに甘えてた。」


いつも強い楓がそんな風に言うなんて。

「うん、甘えるだけの親友じゃなくて信頼しあえる親友でいよう。

ありがとう。矢代くん。私変わるから。

今はまだ自分に自信がもてないけど、でももう逃げたりなんてしないから。」


「うん、ほのかちゃんならできるよ。

僕にできることがあったらいつでも言ってよ。僕達友達なんだから。」


友達……

ついこの間まで自分には友達なんて一生出来ないと思ってた。それでもいいんだと自分に言い聞かせてた。でも今の私は違う。こんなにも私の事を思ってくれている人がいて私の為に涙を流してくれる人がいる。だからそんな友達の為にも変わらなきゃ。

「よし、それじゃあ今から景気づけにカラオケでもいきますか。」


「ごめん、私カラオケ行ったことない。」

まだまだ自分の殻を破るには大変かもしれない。