いけてない私の育てかた

すると楓が、

「あっ、ほのかの背中に蜘蛛が。」


へっ、今なんて? 私の背中に蜘蛛?

ぎゃーーーーー!


昆虫大っ嫌い!

だって何あのお腹の辺りのワキワキした感じ。とてもこの地球上の生物と思えないよ。


「ど、どこどこ?

ぎゃーーーーー!早く取ってーーー。」

半べそかきながら楓の方を向くと矢代くんの顔が目の前にあった。

目を反らせようにも矢代くんとの距離僅か数十センチにどうすることもできない。

バッチリ目があってから慌てて楓の方を見て、

「楓ー、早く蜘蛛取って。」

矢代くんには悪いと思ったけどまず優先するは蜘蛛。


「あー、何か見間違いだったみたい。」

わざとらしく私の肩をポンポンと叩くと、『チン』という音と同時にドアが開く。

エレベーターからおりるとすぐ私は矢代くんに向かって、

「すみませんでした。」

頭を下げた。


「えっ?なに?何で謝るの? 」


そりゃー理由は決まってるじゃない。


「それは、あのー、私初対面にも関わらずあなたのこと見てしまったから。」

「あなたじゃないよ。矢代、矢代冬馬だよ。

それに女の子に見られて嫌な気なんてするわけないじゃん。

面白いね。ほのかちゃんて。」

また面白いと言われてしまった。私はちっとも面白い事言ってないのに。

「マジでこれも何かの縁だし良かったらアドレス交換しない?」


ねっ、いいでしょ。と人懐っこい矢代くんはサクサクっと私達とアドレス交換してしまった。

「これで僕達友達だね。」


可愛い顔して片手を上げてそれじゃ。って言いながら走って行ってしまった。

私はスマホを見ながら暫し固まる。


「どうしたほのか?そんなに矢代とアドレス交換嫌だった?

それなら削除しちゃえば?どうせもう会わないだろうし。」


「ち、違うの。私のスマホの友達の所にこれで3人目のアドレスが入ったの。


ほらっ、見て!」

私は楓にスマホを見せる。

1、呉 楓

2、篠宮 譲

3、矢代 冬馬

「嘘みたい。だって1ヶ月前まで一人もいなかったんだよ。それが3人も。


友達っていいね。」