いけてない私の育てかた

ホテルに到着して楓と部屋へと向かう為エレベーターに乗り込もうとすると、


「ちょっと待って下さい。

乗ります。」


開くのボタンを押して待っている私に、

「ありがとう。」


年は私達と同い年位だろうか紺のブレザーにライトグレーのギンガムチェックのズボンにネクタイの制服を着た人が乗ってきた。

「あれっ?

その制服もしかして北校の子?」

まるで女の子かと思うような可愛らしい声。

「そうですけど。」

素っ気なく答える楓に気にしないとでも言う風に、

「俺は南校の矢代冬馬。

もしかしてオリエンテーション?」

「そうですけど。」


相変わらず素っ気ない。


「俺達もなんだ。

こんな所でまさかお隣の高校の子に会うなんて何か凄いね。」


「あのー。」


私は下を向きながら話しかける。
だって彼何階がわからないんだもん。


「ん? なに?」


「何階ですか?」


「あー、ごめんごめん。

あれー、同じだよ。俺も6階ね。」

閉まるのボタンを押すとドアが閉まりエレベーターが動き出す。


「ところで、君達何て名前?」

「何で貴方に言わなきゃいけないんですか?」


うわっ、楓。いくらなんでもキツすぎない?

楓の返事にもまったく平気そうな矢代くんは、

「変かなぁー?

ごめんよ。こんな所でまさかお隣さんに会うと思ってなかったから俺テンション上がっちゃって。

でも、せっかくこうして出会えたんだし名前教えてくれない?

別にやましいことなんて考えてないから。」


私にはその声はとても嘘をついているようには聞こえなかった。楓もそう思ったのか、

「呉 楓。」


ぶっきらぼうに答える。

楓って顔はいいのになんであんな態度しかとれないんだろう?


「楓ちゃんね。」


「ちょっと馴れ馴れしい。」

「えー、そんなことないよ。楓ちゃん達高1だろ?それならタメなんだし。」

だからっていきなり楓ちゃんは馴れ馴れしいと思うんだけど。


でもこんな可愛い声なのに高1の男子なんて信じられない。

「で、そっちのずっと下を向いてる彼女は?」


「早乙女 ほのかです。」

「ふーん、ほのかちゃんね。


で、なんでこっち向かないの?

俺嫌われちゃったのかな?」

「いえいえ、そんな事は私の事は気にしないで下さい。」

「えー、気にしないっていう方が無理だよ。
だって、さっきっからずっと下向いてボタンの前にへばりついてるんだもん。」


「す、すみません。」


それでも下を向いてボタンの前にへばりつく私。