あたしの流星

怒った…かな?






チラリと先生を盗み見ると、彼はそんなの気にしていない様子で、積み重なっている資料を一枚ずつチェックしていた。







それになんだかホッとしてみたり、やっぱり横顔も綺麗…なんておもってみたり。







だめだめ。






考えたって、意味のないことだ。






この手を動かさないと。






せっかく先生も手伝ってくれてるっていうのに。






「先生、あたしにも資料ください。止めちゃいます」






「おっ、やっとやる気になったな。んじゃ、半分頼むわ」






そう言って先生は、3分の1の資料をあたしに寄越した。






「……え、先生、これ、半分じゃないですよ」






「んー、女の子遅くまで残すわけにもいかないでしょ」






「……別に、いいですよ、半分も3分の1もあんまり変わらないです」






そう言って無言で手を先生に差し出したけど、本当は先生の言葉はすごく、嬉しかった。






女の子扱い、してもらえたみたいで。






それはまるで、優しく扱われてるみたいで。






この二人の空間に流されて。







自分のいい方に考えそうになるのを、冷静なあたしが止めた。






あの言葉に深い意味なんかなくて、ただ、たまたまあたしが居残りさせられたから、言ったまで。






もし、あたしじゃない誰かが居残りに決まっても、先生は同じことを言っただろう。






それが男の子であっても、家帰って勉強しろとかなんとか理由をつけて。






先生のことは今日会ったばかりでなにもしらない。





何を知らない小娘の分際でなにを言ってるのだと、先生と親しい人なら言いたいだろう。







でもあたしは、女の子なのだ。






先生を知りたいと思ってる、そう、それは、例えるならこう。







先生に恋をした、女の子なのだ。