癒月はそんな由紀先輩を驚いた目で見つめていた。
そして、真っ直ぐな目で。
その時だ、私が変な違和感を感じたのは。
癒月は由紀先輩に睨まれている、最初はだからかと思った。
癒月が泣きそうな目で見つめていたのは。
「岸谷先ぱ」
「糸田。なにやってんの?」
そんな癒月に気づいてるのか気づいていないのか、由紀先輩はひたすら睨んでいる。
癒月は由紀先輩の名前を呼んだ。その声が…、ものすごく震えていた。
癒月と一緒にいた数名の女子も「え!?」と小さく呟いていた。
きっと、私と一緒に由紀先輩がいるとは思っていなかったんだろう。
数名の女子の反応は分かるとして、私には癒月の反応が全く理解できなかった。

