「凛くん凛くん」
「え、はい…?」
「蒼くん、凛くんのお兄ちゃんと由紀先輩はどういう関係なの?」
由紀先輩と中庭に戻って、練習用の教室に戻り、今は休憩中。
私は凛くんの腕を引っ張って踊り場まで連れてきたのだ。
目の前の凛くんは、訳がわからない、というような瞳で私を見つめていた。
少し、蒼くんと重なってどきっとした。
「えーと、兄貴がというか、俺達、幼馴染みなんですよ」
「ん?誰と?」
「由紀先輩ですよ」
「悠斗なんて忘れるように頑張りなよ」
由紀先輩は確かに、蒼くんのことを"悠斗"と呼んだ。
そのあと……
「まあ、昔から根はいい奴だからね、あいつ」
って私に向かって言ったのだ。

