「由紀先輩」

「ん?」

「背……伸びましたか?」


自分で思った。このタイミングで聞くのはおかしいと。


だけど、そうでもしないとなんだかおかしくなっちゃいそうだから…。


チラリと由紀先輩を盗み見ると、不思議そうな顔をして首をかしげていた。



「え、そうかな?自分じゃわからないかなー」


そうやって微笑む由紀先輩は、なんだかとても切ないように見えた。



「由紀先輩…」

「とりあえず、もう戻ろっか」


私の言葉を遮り、帰ろうと言われてしまった。


「桐山さんは小さくなったよね」

「えっ。それは先輩が大きくなったんじゃ…」

「ははははっ」



変だな、失恋したばっかりなのに、


すごく気持ちが軽い。



「桐山さん」


由紀先輩は、よく私の名前を呼んでくれてる気がする。



「悠斗なんて忘れるように頑張りなよ」

「理由知って……っ!?」



由紀先輩は、不思議な人だ。