「あ、俺みぃーっけ!」


「え?どこ?」


「あれだよ、あれ。」



右凍は、獺行の指差す方向に目を向けた。



「あっ、彦星!」



彦星を指差しながら、思わず立がある。



「そこ!立ち上がるな!」


「すいませーん…」



クスクスと笑いが起きる。



「怒られてやんの。」


「やんの。」



「絡桔、バッカだなぁ~」



「……煩いよ。」



獺行がからかうと、周りも同調したのか囃し立てる。


右凍は注意するも、拗ねたような声色で説得力がない。



「こら男子、騒ぐんじゃない!」



「へいへーい。」



結局、纏めて怒られてしまった。



「周りの馬鹿どもは、と・も・か・く!絡桔くん、子供みたいで可愛いかったね~。はしゃいじゃってさ。」



「うん……」



からかう様に梟仔は言うが、乱華は気にも止めず返事をした。




目が離せなかったから。



一瞬前方に見えた影と

その影が指した彦星と

無邪気な声が聞こえた空間から。