さようなら僕の死神

「家はどこなの?」


「貴方を見張れつつ快適な空間です。」


君のほうがストーカーじゃん、まあ言わないけど。使命がなんだの言われて返されるに決まっているし。

答えになってないし・・、いやなってるか?


バス通学でもましてや電車通学でもない僕はずっと徒歩で帰り道を歩き続ける。

帰宅部の使命だとかなり長い道をもうずっと歩いている僕は大丈夫だろうけど女子、しかも細くて白く今すぐ折れそうな彼女は大丈夫だろうか?


さっきからずっと無言で僕についてきているような形だからひょっとして疲れているのかもしれない。



「ひゃっ、なっ何するんですかっ。」


「疲れてるような気がしたから。」


片方の手を彼女の足の裏へもう片方の手で背中を支え持ち上げる。

僕はリュックサックを背負っているからおんぶはできない。
そう考えるとこの体制は正しいと思える。

僕のように男らしく言えばそれは抱(かか)えたといった形だが、最近の女子に言わせればこの体制は俗にいうお姫様抱っこらしい。

重さなんて僕は気にしない。

気にする理由がない。

それに気にすることができない。

彼女は僕がお姫様抱っこすることによって、はじめて感情らしい感情を僕に見せた。

それを見れたことが何よりうれしい。


彼女は照れたように赤面した。ように、だが暑いというわけではないだろう。

目をぱちくりさせ、口をパクパクして言葉になっていない。

フリーズしそうだ。今にでも。

さっきは自分から顔を近づけてきたリ、僕の告白まがいのようなセリフは軽く冷たく流した彼女が赤面。照れる。

もう最高だ。