さようなら僕の死神

「いってぇな。何するんだよ。母さん。」


「ふん、パートが終わって帰ってきたらうちのせがれが女の子連れ込んでいた挙句新品の机に穴あけてたら、そりゃテンション上がってはたいてしまうよ。」


これが我が家の母親だ。年の割には若く見えるが、性格の問題でよそ様に見せるのは恥ずかしいが。


「で、そちらのかわいい女の子。お前の彼女か?」


「うん、そうだよ。」


「いっいえっ違います。お母さま?違います、お友達ですよ。」


「それで今デートの計画立ててたところ。ごめんね恥ずかしがり屋なんだ。」


「ふーん。まあどうでもいいけどね。」


その言葉を機に母さんは語り始めた。


「どーせ、高校生の恋愛がずっと続くわけはないし、何よりお前には無理だと思うけどね。」


「私は息子だからって高評価はしない、過小評価はするけどね。そんなお前に恋愛は無理だ。」


「何にも興味がないだろ、お前は。すぐ飽きたなんてセリフをすぐいうだろう。」


「お前に彼女はもったいなすぎる。」


「彼女がお前のことを好きだとしてもお前が原因で破局するね。」


「お前は面白みがない。」


実の息子にズバズバズバズバグサグサグサグサものを言う。これはきっと母親ではない?いや、これが我が家の母親なのだ。


「まあ、でも私はあんたが恋愛というものに少し興味を抱いてるのだとしたらうれしいね。なんにでも無関心だったあんたが他人に、それも女の子に興味を持つ、慣れあうのなんて初めてだからね。」


「ああっ今日はいい日だ。」

母さんはいいたいことを全部言い終わった後にダイニングルームを出て自室へ向かって行った。

なんだかんだで息子を思いやってくれる。人の、息子の彼女の前で恥じらいもせず。


これがうちの母親だ。


「いいお母さんですね。貴方のことをよく見ているんですね。なんかそっくり。」


「それは認めないよ。死神ちゃん。」


僕はアレが母親だなんて思いたくない。前半部分グサグサ来たから。でもまあ、後半部分は結構うれしかったかな。