さようなら僕の死神

「お友達からお願いします。」

鎌をテーブルに突き刺した彼女の言葉には威圧感があった。

「じゃあ、デートもただのお出かけってことでいい?」


「そこはデートでお願いします。」


女子って何か複雑だよな。女子に言ってはいけない禁句だがかなり面倒くさい。


僕は彼女のことが大好きだがここら辺はよくわからない。


「どっか行きたいところある?」


「さあ、こちらの地形に私はあまり詳しくありませんからね。」


「ねえ、」


「はい?」


「敬語やめない?」


「無理です。これが素ですから。」


ならいいか。


「じゃあ遊園地なんてどうかな。」


「王道すぎますね。」


うん、自分でも思ってたからいいけどね。

「じゃあ、墓地にする?」


「いいですねっ。」


「ごめん。嘘。」


オーバー反応だ。これは僕の許容範囲外だった。


「水族館は。」


「王道ですね。」


「ショッピング・・。」


「王道ですね。」


「お家デート。」


「邪道なうえに、今なうじゃないんですか?それ。」


「ほんと趣味悪いよね。女の子のこと考えて選んでやんなよ。」


少し低めの声が混ざる。女性の声だ。だっ誰の声だ。


「ごまかすんじゃないよ、お前。」


バシッと音がするくらい全力で殴られた。スリッパで。



ゴキブリと対等の扱いを受けた。