さようなら僕の死神

「あなたはとっても恐ろしいですね。脅威判定更新されちゃいますよ。私の中では強を超えちゃいましたけど。」


それはとっても光栄だ。僕は今ここで彼女に殺される可能性がある。


まあ、彼女に出会えた。彼女と話せた。彼女に僕のことを知ってもらえた。彼女に僕の考えを伝えられた。

なんかもう十分かもなー。


「私はあなたを殺さないことはできない。期限が来るまでは勿論殺せませんが何より命令に背くことになり私が消滅されかねないですからね。」


「君が死んでしまうくらいなら、僕は自害するよ。」

死神自信にとっての死は消滅らしい。つまり彼女は僕を殺さないと彼女が死んでしまうということだ。


「私は諦めませんよ。久我さん。」


「良かった。わかってくれたんだね。」


僕を殺して彼女は残る。
それはベストだ。


「私は諦めません。貴方を殺してしまわないことを信じ続けることにします。」


「は?」

「私は貴方と恋をします。そのために貴方に死んでもらっては困る。初めての興味対象ですからね。」

「だから貴方もあきらめないでください。貴方こそ諦めないでください。」


「貴方は私に興味を持ってくれた。私に好意を伝えてくれた。そんな人間初めてなんです。
死神になって初めてなんですよ。もう失いたくないんです。私はやっぱり恐怖には慣れない。恐怖を諦めることはできない。」



「今、貴方を失うことこそが私にとっては恐怖なんです。」



なんて馬鹿げた考えなんだろう。でもこれは僕が彼女に伝えた言葉にそっくりで。

彼女は僕に僕と似たような感情を向けてくれている。


こんなに嬉しいことあるのかな。僕にこんな愛情を向けてくれた人がいた。


ああ、愛しいなあ。僕は諦めちゃいけないようだ。


彼女にこんなことを言われた自分に、少しだけ興味を持った。嫉妬を覚えた。

僕のことが動でも良く無くなくなった。


これも彼女のおかげなんだろうなー。


ああ・・・、つらいな。


そう思ってしまうのは、きっと僕の頬を伝う涙のせいだ。

自分を諦めるな、僕自身を失いたくない、こんなことはじめて言われた。



僕の頬を伝う涙は止まらない。ただただ、ボロボロボロボロ零れ落ちているだけだ。