翌日


朝、いつも通りに目覚め朝食を食べた後
就職活動用に買ったスーツに着替え身支度を整える。

朝、10時に面接を受けに行くためだ。

奥の部屋から頭をかきあくびをしながら起きたばかりだとわかる男がスウェットのズボンに手を入れてお腹をかいて出てきた。

この男の姿を女達に見てもらいたい。

がっかりされて、女にモテなくなればいいのにと心の底で毒吐く。

「兄さん、私、面接あるからもう行くね」

「…おっ…頑張ってこいよ」

「うん…電話口だったけど感触よかったんだ。絶対、受かりたい」

意気込んで答える私。

「そんなに力入ってたら本番失敗するぞ。お前らしく普段通りでいけよ」

私の肩をポンと叩いて背中を押してくれる。

女性に対してどうかと思う面もあるが、こんな時は、兄がいて良かったと思う。

「行ってきます」

マンションから出ると駅の地下道をくぐって101ビルを目指す。

高さ101メートルのビルはとても目立ち全面ガラス張りだからかとても光輝いて目立っていた。

そこにいくつも会社が入っていて、その一つが《M&Eオフィス》今日、面接してもらう会社だ。

10人程の小さな会社らしいが、ホテルや船上、その他いろんな所でパーティーなどを企画するイベント会社らしい。

求人誌でそこの事務員募集を見つけた途端、迷いもなくすぐに電話して今日の面接にこぎつけたのだ。

この一ヶ月、1日でも早く仕事を見つけたくて手当たり次第に電話しまくったけど…経験がないとか年齢とかで電話口で断わられる事がほとんど。

面接してもらっても、話を聞いているうちに何か違うと思い断わる事もあったが、今回の会社は、経験も年齢も関係ないと言われ、人柄で面接しますからと言う返答に、私はここで働きたいと思ったのだ。

ガラス張りのエレベーターに乗り、指示された通りに7階を目指す。

エレベーターが上昇するにつれ、緊張がMAXに近づいてくると喉が渇いてくる。

ドアが開いた瞬間、広いフロアの奥に見える自動扉の上には大きな看板《M&Eオフィス》があり、そこを目指して一歩、二歩と歩みを進めた。

扉の手前で大きく深呼吸をして、一歩踏み出せば、自動扉が開いていくと、カウンターの向こうから年配の女性が声をかけてくる。

「いらっしゃいませ…会員登録のお客様でしょか?」

会員登録?