今は、深くなっていくキスから逃れようと強く大河の肩を叩いた。

唇の上で舌打ちする大河が仕方なしというように強く吸いついて離れてくれた。

「…痛いんだけど」

「キスより大事な話なんだろうな⁈そうじゃなかったらどうなるかわかってるな」

「私にとって大事なことなんだから」

「言ってみろ」

体を起こし片膝を立てた上に肘をついて私を見下ろす大河。

私も体を起こしその横に座ると大河の腕に手を絡め寄りかかれば、肩を抱いて話し出すのを待ってくれる。

「……あのね、兄さんの部屋に彼女がいたの。やっと行動してくれたことが嬉しくて大河に報告しようと思って起こしたんだけど…」

驚く様子のない大河に声が小さくなっていく。

「……やっと動いたって訳か…」

んっ?

「何か知ってるの?」

「あぁ、だいぶ前に指輪をどこで買えばいいのがあるか聞かれていろいろ相談されたことがあったな」

「聞いてないけど…」

「どうでもいいから忘れてた。面倒な恋愛してる兄貴から兄貴離れさせる為にも協力してやったのに時間かかりやがって…まぁ、でもこれで美咲もこうして兄貴の為に朝食作りに行く必要がなくなったってことだ」

「そうだけど…」

「これで美咲は俺だけを考えていればいい」

ぎゅっと抱きしる男に質問する。

「もしかして…それが狙いだったってこと?」

「当たり前だ…休みの度に俺を置いて兄貴の為に朝食を作りに行くのを許せると思うか?だから、尻を叩いて煽ってやったのさ」

もう、呆れて言葉が出てこない。
たかだか、数時間のことなのにそれさえも気に食わなかったってことだ。

「さて…俺とのキスより大事なことじゃなかったってことで、どうしようか?」



「えっ…大事なことだよね?」

「いや…キスの後でも聞けた話だ」

確かにそうだけど…

ゆっくりと大河から離れようとしたら、何か企んだ顔をする男につかまる。

「さて、美咲からのモーニングキスからの仕切り直しだな…」

抱きしめられたまま横たわる私達。

目を閉じキスを催促するする大河。

ここで拒むともっと面倒なことになると一緒に生活してわかったから、素直に大河の唇に触れ、目を開ける男に微笑む。

「大河…おはよう」

「おはよう…美咲」

頬に手を添え、離れる唇を追いかけてくる男の唇が甘く啄み誘惑が始まった。

そして、今日も男からの熱いキスを受け続ける。


end