気を失い目覚めることのない彼女を抱きしめ、やっと手に入れた温もりをもう手放すものとかと誓う。

明日から、いや、もう今日からでも彼女と一緒に毎日こうして抱きしめて眠り、目覚める朝を迎える為に、何をするべきかと考えて眠りについていた。

腕の中で身をよじろうとする気配に目が覚めた。

「……美咲、おはよう。体辛くないか?」

「………辛いに決まってるでしょう。初めてなのに無理って言ったのにあんなに何度もするんだから…」

頬を真っ赤にして怒る美咲がかわいくて意地悪したくなる。

「仕方ないだろう……今までキスだけで我慢してきたんだ…あんなものじゃ全然足りないんだけど…」

彼女の上に覆いかぶさり、わざと首すじに唇を這わせていく。

「……やっ……もう、今日は……無理」

「明日ならいいのか?」

「えっ……明日もするの?」

「当たり前だ……好きな女を抱けなくて死にそうだったんだからな」

「……無理、絶対無理。毎日あんなにしてたら体がもたないよ」

「なら、1日おきで我慢する代わりに毎日抱き枕になるなら許してやる。それが嫌なら毎日抱き潰す」

「それって……ここで毎日朝を過ごすってことだよね?」

「あぁ、同棲ってやつだな」

うっと言葉が詰まる美咲を追い込む。

「それが無理っていうなら、我慢せずにどこででも抱くけどいいのか⁈」

「……」

あ然とする彼女がやっと決心した。

「……わかった。一緒に棲むけど…同棲じゃなくて同居だからね。どうせ、ここも兄さんの部屋と一緒で部屋余ってるよね。そこに、部屋を借りるっていうなら一緒に住んでもいいよ」

「何が違うんだ?どうせ一緒に寝るのに…」

「私のケジメなの」

よくわからない言い分だが、それで気が済んで一緒に住めるならなんでもいい。

「わかった……お前の兄貴に挨拶しないとな…」

「なんで大河がするの?」

「結婚を前提で一緒に棲むんだから挨拶するのは当然」

結婚って言葉が嬉しかったようで、素直に従う美咲。

美咲の兄貴が仕事から帰る時間まで、引っ越しを終わらせておこう…

「さぁ、美咲……引っ越しの準備をするぞ」