公私混同してるって自覚あったのね…
それより…その自信どこからくるのよ。

はぁ〜

さっきから、似たようなことしか言わないこの自信家の男に何を言っても平行線のまま、行きつく会話は変わらないのだろう⁈

でも、これほどの愛を言葉にされれば、自信に満ち溢れている姿が清々しいとさえ思えてしまう。

「もう、わかったから…」

「よくない。俺の愛情を疑ったことはどう説明するつもりなんだ?」

「えっ…」

突然、声のトーンが変わり話の方向が変わった事に戸惑う私。

「そ、それは…目を合わせてくれないし、口も聞いてくれないから…でしょう?」

おどおどしている私。

「それは意地っ張りなお前が悪い。好きな女が側にいながらキスできないなんて、どれだけ酷だったと思ってるんだ。それなのに、天宮と楽しそうに仕事してる姿を見ていて、いい気持ちでいられるかよ」

それって……

「もしかして‥嫉妬してくれてたの?」

「あぁ……それで、さっきの説明はないのか?」

あぁ、もう…
自信満々な男が嫉妬してくれてた事を喜ぶ暇もない。

大河の肩に手を添えて男の唇にキスをした。

「…ごめんなさい。もう、疑ったりしないから許して…」

「そんなキスじゃ無理だな…」

「じゃあ、どんなキスならいいの?」

妖しく光る瞳と何か企む笑みに、思わずドアに背をつけ距離をとっていた。

「そうだなぁ…美咲からの熱いキスを毎日1回はするとか…俺と同じようにキスを繰り返すとか…するなら許せるかもしれない。お互いの愛情を確かめる為のキスは絶対必要だからな」

それって…大河がキスしたいだけじゃないの⁈

こうして触れるキスだけでもいっぱいいっぱいなのに、大河の言うような熱いキスなんて無謀でしかない。

不満が顔に出ていたようで有無も言わせないというように鋭い目で大河が私の顔を覗き込む。

反論する元気もなくなり、鋭い目に見つめられ何度も頷くしかなかった。

それに気を良くした男は、嬉しそうに微笑んでエンジンを切った。

車から降りてから繋いだ手は部屋の前まで来ても離されることはなく、離すタイミングがわからずにいた。

お互いの家に帰ればいいだけなのに、扉同士の間で立ち尽くす2人。

「……おやすみ、大河」

引き止めてほしい気持ちもあるからか、ぎゅっと手を握りながら揺さぶる言葉。

ただ、もう少し一緒にいたい。

「…なんだか、離れたくないって言ってるみたいだぞ」