堂々と抜け出した私達

大河の車に乗って港から少し離れた海岸線を走らせると花火が打ち上げられていく。

「わぁ…綺麗」

路肩に車を止めた大河。
車から出るとボンネットに腰を寄りかける大河が手を広げ私を誘う。

大河の腕の中で横を向いて擦り寄るように頭を預けて花火を見ていた。

「…本当なら船上の上で一緒に見るつもりだったんだ。でも、天宮のおかげでこうして2人きりで誰にも邪魔されず見られた…クックク」

思い出し笑いをする大河に、私もあの場面を思い出し頬が熱くなっていた。

「…ん…、ぁ、んっ……た、……い、が…あっ」

突然、唇を塞ぎ啄むキス。そして、唇を食むようにキスをされ、いつの間かボンネットの上に体を倒され、大河が色っぽく見つめる。

久々に触れた唇の感触が忘れられない。

もっと、もっとキスしてほしい。

見つめるだけで再びキスをしてくれない大河の首に腕を伸ばして引き寄せると、言葉にすることを躊躇い下唇を噛んで言葉を噤む。

フッと笑い、噛んでいる唇に触り

「噛んでいたらキスできないだろう⁈美咲の唇、もっと味わせろよ」

突然の艶めく声
そして、唇に触れる温もりがしだいに熱を帯び、角度を変え深くなっていく。
開いた口に、熱い舌を挿入して奥から舌を絡め取り、漏れる声も奪うように塞ぐキス、朦朧とするまで続いた唇がジンジンと痺れるキス。そしてだらしなく開いた口から溢れる唾液。それを舐めとる舌にゾクリと体が震え、私の唇を上下順番に食んでいる。男の唇と舌にされるがまま虚ろに目を開いて大河を見つめていた。

その男の上空で色とりどりの花火がフィナーレに向けて続けて打ち上がる。

男は、音を立て唇に触れると私の体を抱き起こし胸に抱きしめると頭を撫でる。

「このまま閉じ込めてしまいたいぐらいかわいい顔で見つめられたら、キスだけで終われないってわかってるか?」

頭上から甘い声で囁く男が、何を言いたいのかわからないほど子供じゃない。

だからと言って、そうですかと決断できる経験がないから、男の背に手を回そうとした両手が躊躇い宙で彷徨う。

返事をしない私から離れる温もりを寂しいと感じ、男の服の裾を掴んでいた。

苦笑いして男は私の頭を撫でる。

「無理強いする気はない。美咲の心は俺のものだろう⁈だから、その気になるまで待つさ…」

「……ありがとう。大河‥好き、大好き。だから、もう少し待ってね」