お互いに見つめ合ってキスを繰り返す。

キスする度に好きって思いが強くなる。

すき

好き

大好き

そんな私をわかってるように、キスする度に男は好きだと囁いてくれるのに…
いつまでも、終わることのない甘い時間は、幸せすぎて不安がよぎる。

あの日のように、いつか一瞬にして無くなるかもしれないと考えると、この幸せが壊れてしまうのが怖い。

それだけ、初めて信じた男に裏切られた傷は、自分が思っていたよりも深いものだった。

信じれる。
信じたい。
この人なら大丈夫。

そう思うのに…好きって気持ちが大きく膨らむほど、もう傷つきたくないから踏み出せない。

「美咲…」

「んっ…たいが」

触れるキスの合間に名前を呼ばれる。

「今日は、このまま泊っていけよ。どうせ、お前の兄貴、あの彼女とお泊りだろう⁈」

「……」

確かに、今日はもう、兄さんは帰ってこないだろう。

「このまま帰したくない。お前、さっきから悪い事ばかり考えてるだろう⁈」

図星をつかれ返す言葉が見つからない。

「そんなお前を帰せるかよ。何もしないから抱きしめさせて…俺の腕の中で眠れよ」

切なく、懇願する男に心がきゅんと戦慄き、男の胸に飛び込むように抱きついていた。

「一緒にいて…ずっと、私から離れないで…」

「あぁ…一緒だから泣くなよ」

いつの間にか涙が出ていたようで、大河は私の頭部に優しくキスを落とす。

「着替えかしてやるから、先にシャワーしてこい。場所、わかるだろう⁈」

隣同士、部屋の作りは一緒みたいで左右反対だけだったからすぐにどこにあるのかわかった。

シャワーを浴びていると

「着替え、出しといたぞ」

「ありがとう…」

6月末だけど…まだ、肌寒くて薄手のロンTシャツを一枚着た。

背丈のある大河のシャツは大きくてぶかぶか。
下のスウェットは大きすぎて断念する。

鏡を覗くと、Tシャツの丈も太腿の真ん中あたりだから大丈夫と家にいる気分でそのまま出ていった。

スーツを脱いだ大河は、スウェット姿のラフな格好でビールを飲んでいて、スーツ姿の大河しか知らないから、新鮮で見惚れてしまう。

キュンキュンして、思わず大河の横に座り腕を絡めた。

「…おい、溢れる…って」

だけど、大河の視線の先は…

「大河のエッチ」

膝を曲げ裾を引っ張ったシャツの中に足を隠した。

「このまま、ベッドに直行だな」

ニヤッと笑う大河の目が妖しく光った気がする。