美咲はしだいに俺の首に腕を回し、キスに応えてくれる。唇を離すと頬を薄く染め艶っぽく見つめる潤んだ瞳、プルっとした唇が半開きのまま濡れていて誘惑されているようだった。

今まで触れていた唇だけど、また、キスしてあの唇を堪能したいと思ってしまうほど魅力されてしまう。

彼女の頬を濡らす涙の理由がなんなのかはわからないけど…愛しさが溢れてくる。

すきだ…
好きなんだ。

1人の女に熱をあげて自制できないなんて…

「こんなの俺らしくないのに…お前のことになると抑えがきかない。好きなんだ……美咲」

抱きしめた彼女の肩におでこを乗せる。

言葉に表現できないぐらい…
こんなに好きなのに…
情けないけど…
好きだって言葉以外、キスすることしか思いつかない。

どうか…わかってくれよ。

「……」

彼女は、俺の丸くなった背と情けなく下げてる頭を撫で始めた。

「……わたし、男の人が嫌い。平気で嘘ついて女を騙すし、好きでもないのに女の人を抱けるし、恋愛をゲームとしか思ってなくて軽薄で嫌いです」

「……」

いったいどんな男と付き合ってきたんだよ⁈

以前、聞いてしまった「また、騙されたいの』とつぶやきを思いだしていた。

「社長の言葉…好きだって言ってもらえて嬉しいです。……でも、まだ信じられないし、私自身この気持ちが何なのかわからないんです。だから、もう少しだけ…時間を…んっ…ぁ…」

嬉しすぎて彼女が言い終わらないうちに
抱きしめてキスしていた。

嬉しいって言ってるくせに自分の気持ちがわからないって……

慎重になっているだけか?
それとも、本当にわからないのか?

自分が俺を好きだって言っているようなものだって気づいていないのか?

もう少しなんて待ってられるか…

「待てない…待つのも限界って言っただろう。美咲がわからなくても俺にはわかるから我慢しない」

「そんな…めちゃくちゃです」

ギロッと睨む瞳
だけど…かわいいとしか思えない。

はぁ〜、やっぱ、無理だわ。
1日でも早く、俺のものにしたい。

「それなら…この気持ちってやつが何なのかわかるように俺が教えてやるよ」

「……」

あ然として俺を見つめる彼女は、どういうことなのかわからないらしい。

「毎日、キスして、好きだって言って、抱きしめて俺以外考えられなくなるまで
続けるって決めた」

「えっ…そんなの無理」

理解したのか頬を赤く染めて叫ぶ彼女の
頬にチュッとキスをする。

「決定事項だ」