ぼくのまわりにいる悪い人とぼくの中にいる悪い人

ついにこの日が来た。


今日で和人さんへ全額返済できる。

考えてみると1日でも早く返そうと無理をし過ぎたかもしれない。


ついにこの日とはいっても借金が終わるだけなので安心できる訳ではないのだが。



『あらっ、ぶんちゃん来るなら電話くれればよかったのに、今いないよ』


『そうっすか…事務所?』


『わかんないけど…待ってれば?今電話してみるよ、上がんな』


『いや、いいっす、俺電話してみるんで』


姉さんと2人になるのは何だか気まずい。

電話をすると、やはり事務所にいるらしい。

そっちに行く事にした。



ヤクザの事務所も最近では看板など無い。
無いが駐車場には間違いなく普通の会社とは思えない車が並んでいる。


事務所に来るのは久し振りだ。


『おぉ!家で待っててもよかったのによ』


『いえ、一分一秒でも早く返したかったんで…』


間違っても、姉さんとは昔ヤッちゃったんで気まずいっす…とか言えない!


『意外に速かったな…まだ返さなくてもいいぞ!』


『ぶっちゃけキツいっす、金額デカいんで』


『ハハハっ、冗談だよ、でもいくらおめぇが切れもんでも、まだかかると思ったよ』