ぼくのまわりにいる悪い人とぼくの中にいる悪い人

『お疲れ様でーす。お先です』

『えっ弥生、残んなよ~ぶんちゃんいるのに~』

『え!でもサトちゃんと約束しちゃった、ぶん、ゴメンね』
サトちゃんとはこの店の常連だ。
地元にある大手鉄鋼会社の部長さんだ。
アフターも大事にしないと客は取れない。


…結局ママとの恐怖のマンツーマンが始まった。


ふと時計を見ると既に3時を回っていた。

ママも相当いい感じになっていたころ…

…なんか目がスワッてきたような気が。

…始まった


『ネェ!んでどうなのよ!ぶん太!』


なにがどうなのよ!かが全くわからない。


『弥生とどうなの?って聞いてんだよ!』


弥生とは何でもないっつうのに…


『弥生はねぇ…たぶんぶん太を愛してる!うん!間違いない!女にはわかる!』

『あっ、ママもう3時過ぎてんよ、帰ろうよ…』


『ふん、さては都合が悪くなったなぶん太め…飲め!』


『ママはどうなのよ、元旦那さんなんだって?この前カウンターにいた…舘ひろしみたいなおっさん』


『おっさん言うな!』


そう言いながら下を向いたかと思うと泣きだした。


どうしていいのか解らないまま、30分位泣き続けた…