ぼくのまわりにいる悪い人とぼくの中にいる悪い人

ぼくが傘をさしてやり、顔を上げた弥生の顔は雨で濡れていたのか、それとも泣いていたのか…


中学3年の時だったろうか。


自転車で木更津駅に向かう。牛丼屋で大盛弁当を弥生が買い、駅へ上がる階段。


屋根はあるので雨はしのげた。


…2人で黙って牛丼を食べた事があった…


『ぶん、…ぶん太!』

『え?あ、あぁ~』
『なにぼーっとしてんの?あ、もしかして牛丼で思い出した?昔の事』

『だってお前が懐かしくねぇ?みたいな事言うから』


『それよりママ、めちゃめちゃ機嫌がいいんだ、気持ち悪い位』


元旦那さんのせいか…

とてもじゃないが懲役を勤めてきたような人には見えなかった。



…野口から電話がくる。

『ぶん太さん、今日飲みにいきませんか?』


『はぁ?なんだよいきなり、別に夜空いてっけど…』

『あっ!じゃ行きましょうよ!ミンク』

なんかアイツ目当ての娘でも見つけたのか…


という事で『夜飲みにくるよ』
そうママに言って店を出た。

健も誘ったが今日は別件で仲間と飲みに行くとかで野口と2人で飲む事になった。