ぼくのまわりにいる悪い人とぼくの中にいる悪い人

『今日は平日の割に忙しいね?』
『タマタマですよー いつもはボチボチですよ』
『ところでなんで俺の名前知ってたの?』
『え~結構地元では有名ですよー、でもぶん太さんヤクザだと思ってる人結構いますけど…実際は?』
『勘弁…本職はごめんだよ』


ママがまた奥から登場『弥生に代わる?』
『なんで?…別にいいよ』
みんな弥生とぼくが付き合っている、とでも思ってるのだろうか…只の幼馴染みだって…

たぶん…


『昼間どうだった?和人さん大丈夫だった?』
突然弥生が付いた。
『っていうか…サツキは?』
『あたしじゃーダメってか?』
『金出して飲みに来てんのに…お前が付くってどうなの?』
弥生は軍隊の様に指先をこめかみにあて、
『ママからの業務命令であります!』
『…』


ママは、伊達にこの商売で生きている訳では無い事がこういう時に実感する。


なんだか知らないがミンクで飲みたくなった。しかも久しぶりに。その事をみすかされている。
弥生が付くのはそういう時なのだ。


『いらっしゃいませー』
また明るい声が響く。ヨレヨレのスーツ
ネクタイもしてない。ホロ酔い加減の中年親父。

カウンターの一番端にすわった。
大分ご機嫌そうだ。
何処かで見たことがあるような気がしたが、そんな事は忘れ、弥生とずっとしゃべっていた。