ぼくのまわりにいる悪い人とぼくの中にいる悪い人

有り得ない程腫れている健の顔を横目にぼくは眠りについた。




朝。
健はいなくなっていた。


…あのバカまた…


健に電話をするが捕まらない…


仕事の電話もぼくの携帯も健の携帯も鳴りっぱなしだ。


とにかく客だけは取らなきゃ…


この日、仕事をしながらも何回健に電話したかわからない。

夜、仕事用の携帯が鳴る。

こんな時間に貸せってか…


『もしもし…高島君、1億円貸してくださーい』


この声に聞き覚えがあった…ぼくの事を名字で呼ぶ奴にも覚えがある。


『なーに黙ってんだよ!高島っ、まーた胡散臭い事やってんな?昨日木更津でチンピラどうしが殴り合ってるって…とあるパチンコ屋から通報があってよー』


…あん時の刑事か…

『へぇー、物騒っすね…刑事さんも気を付けた方がいいんじゃねぇすか』


『ふんっ!また裏は和人か?』


『さぁ?どうなんすかねぇ、あっ 1億ですか?あいにく審査が通りません』


ぼくは電話を切った。


パクられるかも…


翌日、客の所へ向かう時、さつきの事故現場の前を通る。


警察が随分来ていた。


…現場検証か?


それにしては異常な数のお巡りだな…