ぼくのまわりにいる悪い人とぼくの中にいる悪い人

…その日、夕方になっても健からの連絡は無かった。

9時…
まだ産まれねぇのかな…


電話をする…


留守番になってしまう…


メールを打っておいた。

《おーい!夜中でもいいから産まれたら連絡よこせよ!》


産まれたらあいつ泣きながら喜ぶんじゃねぇかな…


ぼくは自分が親のように楽しみだったのだ。


…電話が着たのは朝方だった。

着信音で直ぐに健だという事はわかる。

『おはよーやっと産まれたか~』


『…今病院にいます…』

『あぁ?だから産まれたんだろ?何、まだなのか?』

『…病院って…中央病院です…』


地元木更津にある救急病院だ。


何かあった事は確かだ…


『ハハハッ…腕が片っぽモゲちゃってます…目ん玉も片っぽぶっ飛んで…フフッ顔なんか形ねぇーし…』

『…』

『大体…さつきじゃねぇーと思うんすよ…』

『…』



ぼくは直ぐに中央病院に向かった…



無残な光景を目の当たりにする事になった。


『…ぶんさん…さつきじゃ無いっすよね…』

『…』



『…ハハッ…絶対違いますよ…』