ぼくのまわりにいる悪い人とぼくの中にいる悪い人

注文してある肝心の借用証がまだ出来てないし…



…携帯が鳴っている
何時だろう…


目を擦りながら半身起き上がる。

まだ5時過ぎだ。

外もまだ暗い…


初めて着信音の違いに気付く。

仕事用の携帯が初めて鳴っている。
初客か?


『…あさ早くにスミマセン…何時からですか…』


元気の無い中年風の男の声だった。
8時に待ち合わせをした。


とりあえず始まったのだ、と思った瞬間だった。



始めて2週間経つ。健も合流して客は既に60人に達していた。
正直予想以上に順調だろう、しかし後2週間後には和人さんへの金利500万も払う事になっている。
当分赤字であろう。

普通1週間に1割とかの金利で借りるバカはいない。

しかし、一般のサラ金とは違い、審査も無い、電話一本で免許証の確認だけで貸す、もちろん職場や自宅への確認はする、しかもそこまで持っていく。


健の客で厄介な客がでた。

『ぶんさん、連絡は取れるんすけど、入金2日遅れてんのがいるんすよ』

女の客だ。
旦那は役所に勤める公務員だが、旦那に内緒でパチンコにハマって使い過ぎたのだろう。

連絡が取れているうちに回収しないといけない。