ぼくのまわりにいる悪い人とぼくの中にいる悪い人

翌日、ぼくはまたベガスⅡに行く。

今日は、わりかし忙しそうだ。

真ん中の奥の方、健が来ている。
チラっとこっちを見たが、すぐに前を向いた。
なんか冷たい感じなようだが、コレがゴト師の鉄則だ。

昨日の奴はいない、それより裏ロムの入っている台を何処に移動したのか…それがわからない。

健も朝一は解らなかったようだが、なんとかなっている感じだ。


ベガスⅡからミンクは、そう遠く無い。

車で10分程である。

『いらっしゃーい!』
ママではなく、弥生だった。

ぼくはオムライスを頼む。

弥生が作って、弥生がもってきた。

『Ⅱで仕事?』

『っていうか…ママは?』

『え?知らなかったの?お母さん死んじゃったんだよ…』

ん?
そうだったのか…

『お前のオムライスって…大丈夫かよ…』

『保証はできないよ!』

食べてみてビックリだった。
ママよりも旨いかもしれない。

『まぁまぁ…食えるよ』

『まぁまぁかよ!』
『っていうかⅡで仕事なの?って?』

飯を食って、ベガスⅡに戻った。
奴は来ない…

夜、9時頃。
結局、奴は現れなかった。
健にそれとなく様子を見てくれ、そう伝え、帰った。