ぼくのまわりにいる悪い人とぼくの中にいる悪い人

『ぶんさん、今大丈夫っすか?』


『おぅ、大丈夫だよ、どうした?』



野口の話では若い連中が集まるプールバーのような所が千葉の栄町にあるらしい。
健はいなくなる前の日までこのバーに、結構な頻度で来ていたらしい。


『栄町…なんかぶん太じゃないけど、うさん臭い感じだね…今日行ってみる?』

『いや…今日は止めとこう、っていうか健の事は諦めて飯でも食いに行くか?たまには焼き肉とか…どう?』


『え?いいの?』


『だってだらだら考えてたってしょうがねぇだろ、また明日から忙しいしよ』


『そっか…そうだよね、行こう焼き肉』


うさん臭い感じ…


ぼくは勿論感じていた。
それに弥生を巻き込みたくなかったのだ。


まだ時間は4時をまわったばかり。


夕飯には早いので遠くまで足をのばした。


弥生は何か楽しそうな顔になっている。


ぼくは健の事が頭の片隅に残ったまま、アクアラインを渡り横浜方面に向かっていた。