ドロップは涙味

◇◇◇◇
《広瀬》

…夕の家。

前に夕と帰った時に、上がらせてもらったなあ。

懐かしいな…

夕と、帰りたかったな…

ハッとする。

「だめだめ!何言ってんの!夕はいつでもいるじゃん!」

自分を励まし、インターホンを押した。

するとすぐに、誰かが出てきた。

「はい。あれ、日向、ちゃん?」

夕のお母さんだ。

「あの、夕にお供えしたいものがあるんですけど、急にすみません」

「ああ、ありがとう!どうぞ、上がって」

「お邪魔しまーす」

夕の家は、大きい。

兄妹が5人いるとあって、部屋も多い。

「…ここが、夕の部屋。部屋にお供えしてくれると、夕も喜ぶわ。」

「はい。わかりました。」

「お茶、持ってくるわね。」

部屋には、私だけになった。

「夕の好きなドロップ。メロン味。それと、1年の時のクラスのみんなから、お菓子だよ。」

実は、夕の家に行くと伝えたら、みんなからすごい量のお菓子を渡された。

それと、『夕によろしく』って。

「夕の部屋、かあ…」

可愛らしい、淡いブルーのベッド。

それに合わせた、ブルーのカーテン。

おしゃれなホワイトのテーブル。

どれも、夕らしくて、頬が緩む。

「日向ちゃん、どうぞ。お茶とお菓子。ゆっくりしてってね。」

「はい」

夕のお母さんは、静かに部屋を出て行った。