「もし、陽のことを馬鹿だと笑う人がいたら……そんなこと、あたしが一番許さない」



感極まったのかわからないけど、そこまで言った時、一筋の涙がこぼれた。


「朔乃先生……！」


あたしの涙に驚いたのか、陽がおろおろと慌て始める。
久しぶりに呼んでもらえた名前に、あたしの涙腺はまた緩くなる。


「朔乃先生の気持ちはよくわかったので、泣かないでください」


陽までつられてしまったのか、彼の目にも涙が光る。
それでも優しい陽は、自分に構うことはなく、あたしをなだめてくれた。


「本当はわかってたんです。朔乃先生は、僕のことをそんなふうに思う人じゃないって。わかってたけど、つい……。僕の方こそすみません」


しょんぼりと心底申し訳なさそうに身を小さくする陽。あたしは、ぶんぶんと首がちぎれそうなぐらい横に振った。


すると、陽はふっと笑顔を浮かべて。