「………………、」
「………は?」
え、この人は今なんて言った?
「あぁ、付け加えると俺、狙った獲物は逃さない主義だから覚悟しててね」
混乱する私をよそに更なる爆弾を落とす工藤椿はまるで冗談めかすような口調で言っているが
──目だけ、笑っていなかった。
「い、意味がわからんっ」
このまま此処にいると、何かに飲み込まれそうな気がして、私は無我夢中で教室へと走っていったのだ。
「あ、みっちゃん何処行ってたのー? 急にいなくなるから驚いたよー……て、何で肩で息してるのさ!?」
那月が驚きのあまり目を見開くのが分かった。
それだけ私の今日の行動はらしくないということだ。
しかし今の私にはそんなことを深く考える余裕がなかった。
弾む息を整えようと深呼吸しながら自席に座った。
それを見計らって那月が私の前の席に座り、顔をのぞき込んでくる。
そして、何かにピンと来たのかニヤニヤしながら口を開いた。
「もしかして、工藤くんと何かあった?」
みっちゃんが走り去った後、工藤くんもいつの間にか消えていたんだよねー、自分の答えに納得しているのかうんうんと頷いている。
さすが、那月。
男女のこととなると、勘が鋭い。
「で、どうなのさー?」
と期待に満ちた目で聞いてくる。
説明が面倒だ。
そう感じたので、思ったままを伝えてみることにした。
「工藤椿って、軽い感じの人なんだな」
急に腕を掴まれて、触れられて、……変なことを言われて……こんなにペースを乱されることはなかったから何だか不愉快だ。

