この短時間で分かったことがある。


この工藤椿という男は権力と良識のなさを持ち合わせたとんでもない奴だということ。


柔らかい雰囲気を持ちながらも、行動は傍若無人で。


だけど、悔しいくらい人を魅力する容姿と私を惑わす綺麗な瞳を持つ男。



そんな工藤椿に魅入られた私は、もう以前の私には戻れないのかもしれない。



それでもいい、なんて思ってしまっている私。


世も末だ。





「私は、工藤椿が好きです。」



「………」




……い、告ってしまった。


鼓動のうるささに耐えつつ、

工藤椿の反応が気になってしまう。



が、なぜか無言。




ふいに包容を解かれたかと思うと工藤椿は前髪をかきあげた。 


その仕草にドキリとしつつ、言葉を待つ。




「……失敗」



「……は?」




人が己を奮い立たせて、した告白を。

失敗だと?



と、怒りがふつふつ来るもつかの間、



「こんなに破壊力あると思わなかった」



そう言った工藤椿の顔は心なしか赤くて

難攻不落と呼ばれた男の面影はちっとも残ってなかったけれど。



無関心女子だなんて那月に言われてた私も形無しだし、おあいこかなと漠然と思ったり。





「俺も、好きだよ」



そう甘くかすれた声で言った工藤椿と、

そして、新しい自分と



向き合いながら、これから起こるであろう事柄に胸を弾ませて、工藤椿に身をゆだねた。





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