浜野みちる、高校二年生。
趣味はこれといってない。
花を愛でたりする女の子らしい心もない。
そんな私は、どうやら人とは違うらしい。
「もう、みっちゃんはー! 男子に興味がないなんて! せっかく可愛いのにさー! その容姿を生かさないなんて勿体ない!」
「……可愛くないし、それにそんなに騒がないで。耳が痛い。」
「むぅ……そうだね! みっちゃんは性格は可愛さのかけらがないもんねーだ」
「うるさいよ、那月」
昼休み、教室内で早々に昼ご飯を食べ終えた私の向かいでわーわー言っている大川那月は私の唯一の友達だ。
私とは対照的に明るくて何でも関心を持って突っ込んでいく性格だ。
特に年相応とでもいうか、那月の話は大方八割が色恋沙汰、先程まで話していた話もまた然りだ。
あしらってもあしらっても、めげないで話を持ちかけてくる那月を見て思う。
なんで、私と一緒にいるのだろう……?
クラス替え早々に何を思ったのか那月に気に入られて以来の仲だけど、2ヶ月経った今でも未だに疑問に思ったりもする。
そんなことを考えていたら、廊下から黄色い色めき立った声が聞こえてきた。
「はっ、もしかして、工藤くん?!」
予想通り、那月が声のする方に反応して一目散に走っていこうとする。
ここまでは想像の範囲内。
しかし、今日の那月はどこか違った。