この世界は科学というものが存在しない。

代わりに魔法が発達している。

と言っても魔法が使える人間は極端に少なく全国土から集めても100人足らずで、しかも全員王城で高額で雇われている為、一般に流通していない。

魔法使いが魔力を込めて生産した魔具はとても高価で上位貴族しか買えないため、手の届かない庶民は細々と自らの労力で賄っている。


しかし、マイコは異世界に来た拍子にそうなったのか何なのか、魔法を使うことが出来た。

それも魔法使いの中でも群を抜いた魔力を持っており、更には日本に居た頃の科学技術や知恵、ゲームや小説などから仕入れた知識を最大限に利用している彼女には向かうところ敵なしであった。


そして日常の中にも魔法を取り込むことによって精一杯楽をしているのである。

例えば、水道を作ったり(普通は井戸から汲まなければならない)、IH(普通は薪で釜戸に火を起こさなければならない)を作ったりなどと。

マイコは鼻歌まじりに鍋に水を入れてIHに乗せてスイッチを押す。

中に適当な調味料を入れて、ジャガイモや人参、玉葱を投入して蓋をした。

昨日焼き置きしておいた食パンをオーブントースタもどきに突っ込んだ。