俺は野々宮のネクタイを引っ張った。
至近距離で悪友の顔を覗き込み、上から目線で言い放つ。
「ごちゃごちゃ言ってないで、席替われ。また一緒に焼肉屋に行きたいなら別だが?」
ヒッ!と怯える野々宮。
たぶん、この前の金額を思い出したんだな。すまん。あの時は腹減ってたからちょっと食い過ぎた。
「わかった!替わるから!頼むから焼肉は無しで!」
半ば涙目で野々宮は席を立つ。
こうして「特別席」を手に入れた俺。
「よろしく、相原」
隣の席の彼女を見て微笑む。
「あ……よ、よろしく…」
驚いた表情。
相原にとっては予想外だったか。
ふっ、気分が良いな。
いつもモヤモヤさせられていたから、仕返しに一泡吹かせてやった感じだ。
さあ、君はどう出る?



