「あ、相原だ」 野々宮の声に反応して顔を上げる。 開けっ放しのドアから相原が入ってきた。 「おはよ」 何と無く挨拶をしてみる。 すると、驚いた表情で相原が固まった。 「…お、おは、よう…」 うわ、なんだこれ。 かなりビビられてるぞ俺。 相原は蚊の鳴くような声で挨拶を返すと、俺から視線をそらして着席した。 まだホームルームまで時間があるからか、本を取り出して読み始めてる。 俺の方を向く気配は無し、か。 なら…。