今日から始まる高校生活。
少し大きめの制服に身を包み、新品の自転車に股がる。顔に当たる風が心地良い。そんなことを考えていた登校途中、
「痛っだー!!!」
自転車が大きく傾き、倒れる。初日から、考え事をしていたせいで大きな木にぶつかり、新品の自転車のカゴがぺちゃんこになってしまった。
「あぁー!これ、高いやつなのに!」
俺の家では、お小遣い制で自分の物は自分で買うことになっているから、正直、壊れてしまうのはとてもキツい。すると、
「アイツ馬鹿みたいだ!!!カゴぺちゃんこ!!!(笑)」
後ろから、最悪な声が聞こえてきた。そんなに大きな声で言うなよ!
「本当、大丈夫かな!?」
後ろで騒ぎ続ける男に、そろそろムカついてきた。
「絶対痛かった!!!めちゃくちゃ凄いコケ方した!!!」

俺は、ゆっくりと立ち上がり、後ろへ振り替える。目線の先には、背の高い、モデルのように美しい男が立っていた。驚く事にその騒音男は1人きりだった。
「あ………あれ?1人きり?」
「うん。って言うか大丈夫?」
「騒ぐ前にそれを聞いて欲しかった。」
「…それって俺に惚れたって事?」
「違うわ!!!殺すぞ!!!」
なかなかの不思議ちゃん。今の今まで知らない人を1人で大声で馬鹿に出来るなんて、ある意味尊敬する。
「ってオイオイ、怪我してるぞ」
見ると、制服の膝部分が大きく裂けて血が出ている。