───それは突然、やってきた。




「…ぃ……いゃあああぁぁぁぁ………!!!!!」



───ピーッピーッピーッ………



「…っぁ……っぅ……」



薬品の臭いが充満した病室。



命が途絶え無慈悲に鳴り響いている心電図。



医者が、対光反射を見て、呼吸の有無を調べ、死の宣告を告げた。



「9時47分、ご臨終です…」



医者達は、唯一の身寄りだった母が死んだ私を見て気の毒に思ったのか、あえて何もしてこなかった。



「…ぁっ………か…っあ…さん……っぅ……」



母の死因は、突然の心臓発作だった。



何も病気など無かった母が、何故発作を起こしたのかは、医者は解らないと言う。



私は、母の発作に居合わせていた。


私の誕生日のための夕食を作っている時だった。


その兆しなど、全く無かった。


急に床に倒れ込んだんだ。


苦しいと言って私の腕にしがみついてくる母。


私はあわてて救急車を呼んだんだ。



母の息はもう虫ほどだった。


その時点で母の命は無かったのだろう。


それでも、私は救急車に乗り、車内で母の措置を黙って見ていた。



何故かその間は理性を保つことが出来たんだ。



「…………。」



何の言葉も発さない私を見て、救急隊員は慰めてきた。



「大丈夫です、あなたのお母さんはきっと助かります」



証拠もないのにただすらすらと言葉を並べていたことを覚えている。







でも。





お母さんは助からなかった。





「最善を尽くした」と言っていた。




「綺瑠さん」



ナースが私に声をかけた。