「す、好きだ」






昼休みの空き教室




顔を赤く染め、言葉を発した君




「え? 」

「っ、だからお前が好きだっ」



赤い頬、必死なのはわかるのに何処か投げやりな告白だな



他人ごとのように思った。




息を吸い、彼を見つめる。




「・・・・・・日野くん、わたし」


「ハイハイハーイ!ドッキリ大成功!」






私の声に被さるように聞こえた数人の声




答える暇も、びっくりする暇もくれないのか




ああ





やっぱりか




どうせこんな事だろう




そう思っていた。




「酷いなこれは」

「でもびっくりしただろ?」

「うーん、まあね」




ヘラヘラと笑う男友達に曖昧な返事をぶつける。




ぶつけられた方が気づかないほど優しく




何が”でも”だよ




ゆっくりと口角をあげ、目尻を下げる。




笑い方を忘れないように




「日野、お疲れー」

「・・・・・・・お、おう」

「いやー、本当にやってくれるとは思ってなかったよ」



”罰ゲーム”




誰かが発したその言葉



すっとお腹の中が冷たくなった




その時の味は良く覚えている。



苦くて辛くて酷く薄い



吐き出したいとどんなに思ったことか




今すぐ日野くんの周りにいる男子の頭を殴ってやりたかった。



私は嫌な女子だから



だけど



「・・・・・・・・・」



すごく静かな彼と目が合う



人は




世界が今日終わると告げられたときにきっとこんな瞳をするのだろうか




”ごめんね”




小さく呟く




見えない涙は周りの笑い声に消され







空気に染み込んだ。