「何かイマイチなお店だったねー」

「そうですね。もうちょっと彩りがあると嬉しかったですよね」

新規開拓したお店が残念な結果に終わってしまったことで、私と麻帆さんの昼食後のテンションはやや下降気味だった。

先週できたばかりの定食屋さんが安くて美味いと男性陣の間で評判になっていたので、それじゃあ試しにとふたりで行ってみた次第だったが、メニューを見るなりがっかりしてしまった。

メニューにはどんぶりをガッツリ掻き込む系の定食しかなく、量より質にこだわりたい私達にはどうも合わなかったようだ。

ランチを外で摂ろうとすると、自分の求めているものが食べられないという自体はざらにある。

お気に入りの店があったとして、今日はあれを食べるぞっと気合を入れた日に限って、満員で入店できないということも珍しくない。

そういう時は泣く泣く別のお店に走ることになる。走るのが嫌なら最初からお弁当でも作るしかない。

……自分にそのスキルがある場合の話だけれど。

(王子さんのつくね美味しかったなあ……)

先日頂いたつくねの味を思い出すとほうっとため息が出る。

甘辛いたれ、ほどよい塩気。あのつくねならいくらでも食べられそうだ。

(ルージュランチで持ってきてくれないかな……)

今度、ダメモトで頼んでみようと心に固く誓う。

自分で料理は作れないくせに、食いしん坊だから質が悪い。

美味しいものを貪欲に求めるのは女性として生まれた性だろう。